さて、ウィーン滞在3日目は恩師アレクサンダー・イエンナー氏のレッスンでした。
今回どうしても教わりたかった曲はハチャトゥリアンのピアノ協奏曲(1936)。 学生の頃は協奏曲といっても、とにかく有名どころのレパートリーをひととおりやっておくだけで精一杯でしたが、最近になってようやくマイナーなものにも目を向けられる余裕が。 とくにこのハチャトゥリアン、イエンナー先生は作曲者自身の指揮で何度も共演しているので、いろいろなお話を聞かせて頂き充実したレッスンとなりました。 先生がこの協奏曲を演奏したのは1955年から86年の間で、ハチャトゥリアンとはサンパウロ・ウィーン・リンツ・ザルツブルグで、さらに他の指揮者とも合わせると合計35回この曲をオーケストラと共演したそうです。 ハチャトゥリアン(指揮)、アレキサンダー・イエンナー(ピアノ)の貴重な写真。オーケストラはウィーンフィル。ウィーン楽友協会ホールにて。 ソヴィエト・スターリン政権時代、怒涛の時代を生きたハチャトゥリアン。 同時代のショスタコーヴィチやプロコフィエフは今日もなお愛され続けているのに、ハチャトゥリアンは「剣の舞」ばかりで他の曲はあまり演奏されることがありません。(バイオリン協奏曲はわりとそれでもよく聞きますが) やはりその作風が強烈だからでしょうか? 指揮者のスワロフスキーはこのピアノ協奏曲の2楽章を聴いて、「蛇使いの音楽だ!」と言ったそうです。 私は民族的な感傷が美しいと思いますが・・・ 全体的にアグレッシブで力強く、またその「垢抜けなさ」が私自身にもぴたりと沿うところがあり(笑)、良いレパートリーとなりそうです。 しかし、我が恩師のすごいところはレッスンでオーケストラパートをピアノで演奏して下さる際の響き。 今回のハチャトゥリアンに限らず、これまでのコンチェルトのレッスンでもそうでしたが、まるでオーケストラの音なのです。 以前プロコフィエフの3番とブラームスの2番の協奏曲を2台ピアノで先生と演奏した際、聴きに来てくれた友人たちが皆、先生の伴奏に感嘆し興奮していたことを思い出します。(2曲とも、ソリストよりも一人でオケの音を作る伴奏の方が大変なんです!) やはり数多くの経験により曲を深く知り尽くしているからなんだろうと思いますが、素晴らしい。 さて、ハードなレッスンの後は美味しいお食事。 イエンナー先生と、私のオーストリアの家族のお家へ。 預けていった娘はちゃんとお母さんのお手伝いをして待っており、主人はすでにワインで出来上がっておりました。 「正しいオーストリアの家庭料理」をごちそうになり、皆で夜が更けるまで語り尽くしたのでした。 ウィーン旅行記はまだ続きます・・・
by mi-maruyama
| 2009-03-11 12:17
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